「プロジェクト型課題解決学習」(Project-based Learning:以下PBL)とは、社会が抱える課題に対して、学生数人と担当教員、企業・地方自治体、NPO法人の担当者等で構成されるプロジェクトが、解決を模索して活動していく学習形態です。学生は、その課題解決に取り組む過程で、いろんなことを学びます。そこでは、従来の研究室単位でのゼミ学習と違い、厳しい現実にも直面します。予算、活動時間、自分たちの能力など、限られた枠内で最良の結果を導き出していこうとする姿勢が求められます。「理想解」を追うのが従来の学習なら、PBLは「最適解」あるいは「現実解」を追う学習体系とも言えます。英語では配偶者のことをbetter halfと表現します。決して best halfとは言わないのです。これと同じ「現実主義」(pragmatism)がPBLの根底には流れています。加えて、PBLでは、「如何なる個人よりプロジェクトの方が賢い」という立場をとります。
山口大学国際総合科学部は、従来の卒業研究に代えて、このPBLを新しい卒業研究として採用し、平成30年度から19プロジェクトを実施。その後、山口県政策企画課の支援のもと、県内の他の高等教育機関に呼びかけを行いました。山口県立大学、梅光学院大学、徳山大学に賛同いただき、令和元年度は合計45プロジェクトが実施されました。令和2年度は山口学芸大学、令和3年度には東亜大学、至誠館大学が参画し、さらに、令和4年度には宇部高専も加わり、現在60以上のプロジェクトがPBL活動を展開しています。
令和元年度45プロジェクトの一覧は、福屋が制作したpblとは何か・福屋利信を参照ください。そこでは、2018年度に福屋が指導した山口大学国際総合科学部の周防大島アロハプロジェクトの資料も見ることができます。 また、梅光学院大学・室積海商通りプロジェクト(2019年度)、山口学芸大学・名田島地区災害避難アプリ制作プロジェクト(2020~2021年度)の資料も見ることができます。
このような状況下、活動拠点が必要となり、平成31年1月4日にオフィスSmall Town Talk(街談巷説)を周南市PH通りに開設しました。詳しくは、紹介記事 を参照ください。オフィス開設のコンセプトは、「大学教授よ、研究室を出て、街(ストリート)に繰り出せ!」です。
尚、2019年度〜220年度においては、KRY山口放送のラジオ番組「お昼はZENKAIラヂオな時間」において、様々なPBL活動の経過を発信し続けました。
上記のコンセプトをタイトルに落とし込み、PBL関連本の決定版として2020年4月に発売したのが拙書『大学教授よ、書をすてよ、街へ出よう:プロジェクト型課題解決学習(PBL)進化論』です。これからPBLに取組もうとする教員及び学生の皆さんへの一助となれば光栄です。